【2023年度版】サイト売買における契約書のポイントを徹底解説

のの先生

サイト売買において、一般的に利用される事業譲渡契約書のポイントを解説します。

サイト売買において締結する契約書の内容を理解しておくことは、気持ちよく取引を行うため、売主、買主双方の今後のためにも本当に大切です。

  • 買取したサイトの中身に含まれている譲渡資産は何か?
  • サイト売却後、売主は類似のカテゴリのサイトを立ち上げてもよいのか?
  • 売却後、どれくらいサポートが必要なのか?

このようなサイト売買にまつわるさまざまな問題について、契約書を作成し、取り交わすことでスムーズに取引できるようになります。

サイト売買プラットフォームに掲載した後、交渉が順調に進み、さあ、契約!となった時でもあわてないように契約書のポイントをこの記事で押さえていきましょう。

目次

事業譲渡契約書の雛形

この記事では、ラッコM&Aが提供している事業譲渡契約書の雛形を確認していきます。事業譲渡契約書の雛形は以下のページから取得できます。ぜひダウンロードして下さいね。

その他にもSTORIA法律事務所さんが提供している、ウェブサイト売買契約書の雛形も参考になります。興味があればぜひこちらもチェックしてみてください。

弁護士が提供するウェブサイト売買契約書の雛形 | STORIA法律事務所
https://storialaw.jp/topics/3313

事業譲渡契約書の概要

のの先生

契約書の各条文について表にまとめてみました。

ラッコM&Aが提供している「事業譲渡契約書(WEBサイト)のサンプル」の各条項を表にまとめてみました。契約書を読み進める際に、目次のようにご利用ください。

スクロールできます
条名概要
1条事業譲渡対象サイトを運営する事業の譲渡を行うことが記載されています。
2条譲渡対象譲渡する資産の定義をしています。雛形ではコンテンツ、構成ファイル/データ、著作権、ドメインが記載されています。
3条譲渡代金譲渡代金について記載しています。
4条ラッコM&A利用料金ラッコM&Aを利用しているため、契約締結時にM&A利用料金を支払う旨が記載されています。
5条支払方法安全に買取の代金とデータの受け渡しが行えるように、ラッコM&Aのエスクローサービスを利用して取引を行う旨が記載されています。
6条引渡し売主側のドメイン、サーバーの引渡しの手続きの期限、また買主側からの検収合否の通知の期限(14日以内)、また検収中に譲渡財産の不足、瑕疵、欠陥が見つかった際の協議について、買主側の広告タグの切り替え責任、外部との契約手続きについてなどが記載されています。
7条精算並びに回収・支払の代行譲渡日以降に、買主が得るべき収益を売主が受領した場合、その逆の場合は相手に対して速やかに返還する旨が記載されています。
8条競業避止対象サイトと同趣旨のサイト、類似性を誤認させるようなサイトの運営を行わないことが記載されています。(雛形では6ヶ月間)
9条表明及び保証売主、及び対象サイトには、第三者の権利、侵害、譲渡財産の使用に関する制限がないこと、現在進行中の法的手続きなどがないことを表明する記載がされています。
10条事業の運営譲渡の引渡しまでに間に売主は善良なる管理者の注意義務をもって、事業を運営、継続する旨が記載されています。
11条商品在庫の取扱いについてECサイト等における、商品在庫の取り扱いについて商品在庫の評価は行わず、その対価は生じないものこと、在庫の不具合、瑕疵などについては損害賠償請求の対象とならない旨が記載されています。
12条契約解除・損害賠償双方のどちらかが、本契約に違反したときは手続きを要せず、直ちに解除することができる旨が記載されています。契約解除の際には、買主は買い取ったサイトに関する一切の資産の返却する旨が記載されています。
13条不可抗力天変地異、そのほか売主、買主では責任が負えない事態について契約の全部、一部が不履行になった場合は、その部分について効力を失う旨が記載されています。
14条秘密保持本件事業譲渡に関連して、書面、口頭、データにて開示された秘密情報は、本契約の目的のみに使用すること、また情報の取り扱いについて記載がされています。
15条準拠法及び合意管轄契約が日本法を準拠法とすること、日本法に従って解釈されること、又紛争が生じた時の専属的合意管轄裁判所とすることが記載されています。
16条協議解決本契約に定めのない事項については甲乙協議の上決定する旨が記載されています。
17条特記事項特記事項にはサイト譲渡完了後、売主によるサポート期間が記載されています。雛形では1ヶ月間となっています。
のの先生

以下では、特にサイトM&A研究所が特に注目すべきだと考えるポイントをあげていきます。

契約書のポイント1 – 第2条 譲渡対象

第2条の1項では、譲渡対象となる資産が記載されています。この他にも売買することが想定されている内容(例: 顧客リスト等)などは追記するようにしていきましょう

1.本件事業譲渡に際し、甲は乙に対し、譲渡日現在における本件事業に属する以下の 各財産(以下、「譲渡財産」という)を譲渡するものとする。

a. コンテンツ
b. 構成ファイル/データ
c. 著作権
d. ドメイン

また、2条の2項では、譲渡日までに発生する売掛金、買掛金、及び対象サイトで使用しているアフィリエイトアカウント、アクセス解析のアカウント(主にGoogle Analyticsなど)は譲渡財産に含まれませんここは認識しておきましょう。

2. 譲渡財産は前項に列挙されたものに限る。以下は前項に明記されない限り、譲渡財産とならない。
a. 本件事業に関し、譲渡日までに発生する売掛金及び買掛金その他一切の金銭 債権債務
b. 対象サイトで使用しているアフィリエイトなどの広告配信プログラムのアカウント及びアクセス解析のアカウント

契約書のポイント2 – 第6条 引渡し

3項 検収不合格の相当事由について

ラッコM&Aの事業譲渡契約書の雛形では、売主を守る契約となっております。買主は引き渡されたサイトを検収した上で、不合格を出す際に、サイト売買(=事業譲渡)が取りやめとなりますが、その不合格通知には以下のように相当な事由が必要となります。

3. 乙が甲に対して不合格を通知する場合、譲渡財産の不足、現状の運営に支障をきた す瑕疵または欠陥、サイトの運営内容や本件事業に関連する取引業者との取引等に関する虚偽報告等、相当の理由を示して通知しなければならない。

非合理的であったり、不当な理由を立ててサイト売買を取りやめるということはできないという解釈になるので、買主側も責任をもって検収を行なっていきましょう。

5項 広告タグの切り替えについて

ここもラッコM&Aの事業譲渡契約書らしく、売主を守る内容になっています。6条の5項では

5. 本件事業に関する債権は、譲渡日前日までに成立したものは甲に帰属し、譲渡日以降に発生するその他の債権は、全て乙に帰属する。譲渡日以降に広告タグを切り替えていないことなどによって発生した債権は甲に帰属する。

となっています。

その為、買主は譲渡日移行速やかに広告タグを自身のリンクに切り替えておかなければ発生した売り上げは売主のものとなるという解釈になるので注意してください。

契約書のポイント3 – 第8条 競業避止

「本件事業譲渡後、6ヶ月間甲は乙の承諾無く対象サイトと同趣旨のサイト、類似性を誤認させるようなサイトの運営を行わない。ただし、乙にその存在を通知済のものは除く。」

売主による競業にあたるようなサイトの運営は、一定期間の間(雛形では6ヶ月間)行わないことが記載されています。買主の気持ちとしては一定ではなく、できる限り長期間にしたいところですが、公正な競争の為に必要な縛りと考えられます。

のの先生

出来るだけ売主と買主が話し合い、サイト譲渡後も双方にとってメリットのある関係性が築けたら良いですね。

契約書のポイント4 – 11条 商品在庫の取扱いについて

第11条ではECサイトにおける売買での商品在庫の扱いについて記載されています。雛形では在庫評価を行わず、その対価は生じないこと、その為、評価を行わないので在庫の不具合、瑕疵などについては契約の解除理由、損害賠償請求の対象にならない旨が書かれています。

もし在庫の商品の価値を含めてサイトの売買価格を合意している場合はこちらの記載は修正したほうがよいでしょう。

第11条 商品在庫の取扱いについて

1. ECサイト等の売買にともない、商品等の在庫の引継を行ないますが、商品在庫の評 価を行なわず、その対価は生じないものとします。


2. 在庫の評価を行なわないので、在庫の不具合、瑕疵等の在庫に関する事情は本契約 の解除理由とならず、商品の交換あるいは損害賠償請求の対象とならないことを合 意します。

ラッコM&Aでは無料弁護士相談が利用できる!

サイト売買における事業譲渡契約書の雛形をみていきましたが、取引に応じて修正・変更したい箇所も出てくるかと思います。ラッコM&Aでは無料でラッコM&A担当弁護士に契約書修正などの相談ができる機能がついています。

取引がはじめての人でも安心できる機能なのでぜひ利用してみてください。

無料弁護士サポートサービス | ラッコM&A
https://rakkoma.com/#lawyer_support

まとめ

この記事ではサイト売買におけるラッコM&Aが提供している事業譲渡契約書の雛形についてみていきました。

サイトM&A研究所として特にポイントとして注目したところを記載しましたが、実際の契約においては、担当の弁護士さんとしっかりと相談し、またラッコM&Aでは無料の弁護士相談を利用するなどして、必ず専門的な見解を確認するようにして下さい

サイト売買において、売主、買主の認識の齟齬をなくし、売買後も双方が良い関係でいられること、そしてサイト運営自体が健やかに継続されるためにも、ぜひ双方が納得した契約書を取り交わすようにしてくださいね。

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この記事を書いた人

サイトM&A研究所代表。ネット業界約20年目。メガベンチャーでのスタートアップタイミングに入社し、IPO、海外子会社マネジメントを経験。その後自身のSaaSスタートアップを設立し、数年後に売却。現在はデジタルを主軸とした経営・ブランド・マーケティングのコンサルティング。Web/ECサイト、ゲーム、アプリ、SaaS、VTuberなど様々なヒットメディア・コンテンツのプロデュースを担当。AIの進展によりこれからのメディアはどうあるべきかを考えるのが今のテーマ。

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