【2023年度版】サイト売却にかかる税金の基本を解説 個人と法人の違いは?

のの先生

サイト売却における税金について理解を深め、売却時の収益を最大化する方法を学んでいきましょう。

サイトM&A市場の拡大に伴い、法人だけでなく個人の方も副業でサイト売買サービスを利用することが増えています。

しかし、サイト売却をするとなっても、税金のことを考えずに表面上の売却価格を高くすることだけを考えてしまうと、最終的に得られる利益が大きく下がるケースも発生しています。

当研究所では、サイト売買時、個人と法人でどのように税金に影響を及ぼすかリサーチしてみました。

ぜひみなさんのお役に立てば嬉しいです。

目次

サイト売買における売主の税金

法人がサイトだけ売却した際の税金(事業譲渡)

法人がサイトだけを売却(=事業譲渡)した場合は、原則、全て収益(益金)となります。益金から法人の年間の費用(損金)を差し引いたものが、所得となりその年の法人税等の対象となります。実効税率は法人の資本金の規模、年間所得額によって変わってきます。

東京都23区に事務所を有する中小法人(資本金の額1億円以下の普通法人)の場合

法人住民税と法人事業税に関して、標準税率と超過税率の2つに分かれ、法人税額や所得金額などによって税率が変わることがあります。(超過税率の適用要件は住民税:法人税額が年1,000万円超, 事業税:年所得額が2,500万円超の場合です。)

年400万円以下の部分の金額: 21.42%

年400万円超800万円以下の部分の金額: 23.20%

年800万円超の部分の金額:
標準税率適用 実効税率: 33.58%
超過税率適用 実効税率: 34.59%

東京都23区に事務所を有する外形標準課税適用法人(資本金1億円超)の場合

実効税率: 30.62%

法人税の実効税率については以下のサイトを参考にさせていただきました。

No.5759 法人税の税率 | 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

法人税の実効税率とは?定義や計算方法など徹底解説 | AGS media
https://www.agsc.co.jp/ags-media/corporate-tax-rate/

法人税の実効税率 | 税理士法人 サポートリンク
https://www.actax.co.jp/column/corporate-tax/%E6%B3%95%E4%BA%BA%E7%A8%8E%E3%81%AE%E5%AE%9F%E5%8A%B9%E7%A8%8E%E7%8E%87/

税金Lab税理士法人
https://www.suztax.com/index.php?setuzei1-8

法人(株主)が会社ごと売却した際の税金(株式譲渡)

サイトを運営している法人の株式を売却(=株式譲渡)した場合は、譲渡によって所得を得た法人の株主に対し、譲渡税がかかります。

20.315%
(所得税 15.315% + 住民税 5%)

事業譲渡での法人税率と比較すると株式譲渡税の税率は低くなります。しかし、株式譲渡となると、いわゆる法人の買収になるため、サイトの譲渡だけにとどまらない複雑な手続きが必要となります。

法人のM&Aの手続きに関わる費用(仲介手数料、デューデリジェンス、契約締結までの諸費用)が高くなること、売主側、買主側双方の時間も拘束されることから、トータルで見るとコストが大きくなる可能性があります。

一見すると税率上は株式譲渡が有利に思われますが、一般的なサイト売買においては手間、手続きのシンプルさを考慮にいれると事業譲渡が好ましいと考えられます。

個人でサイトを売却した際の税金(譲渡所得)

個人が資産を譲渡した場合は原則として譲渡所得となります。譲渡所得(土地建物や株式を除く)は、所有期間により計算方法が変わります。

  • 所有期間が5年以内の場合
    短期事業所得となり、給与所得や事業所得と合わせて総合課税制の下、所得税の対象になります。
  • 所有期間が5年を超える場合
    長期事業所得となり、1/2が総合課税の対象となります。最後は事業所得と合わさり、所得税がかかりますが、譲渡所得には50万円の税控除を受けられるというメリットがあります

上記の通り、5年を超えて保有する長期事業所得は半分しか総合課税の対象にならず、且つ、税控除もあるため有利となります。また、所得税は累進課税となります。所得が大きければ大きいほど税額が上がります。これに、住民税10%や個人事業税4%が加わります。

課税される所得金額所得税率
195万円以下5%
195万円〜330万円10%
330万円〜695万円20%
695万円〜900万円23%
900万円〜1,800万円33%
1,800万円〜4,000万円40%
4,000万円〜45%

ちなみに、ネットの情報では、何度かサイトを売買していると、譲渡所得扱いではなく、事業所得扱いになるのでは?という疑問を持った方もいるかもしれません。事業所得として考えられるのは継続的なサイト売買を目的として、作成、所有しているサイトを商品(棚卸資産)として計上している場合です。個人の方でそのような資産計上している方は一般的に少ないと考えられます。

その為、個人の方で多数のサイトを作成・運営していて、その後何らかの理由で全て売ってしまった場合等でも、サイト売買自体は複数回発生しますが、事業所得にはならない可能性が高いです。

No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法 / 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm

No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税) / 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3152.htm

サイト売買における買主の税金

法人がサイトだけ購入した時の税金(事業買収)

会計上、サイトは一般的にソフトウェア(無形固定資産)として扱われ、原則、5年かけて減価償却することになり、複数年に渡って費用計上することになります。

例えばサイトの価格が1000万円だった場合、毎年200万円が費用として計上できます。(初年度の費用計上額は購入日により変動します。)単純に、期間中の毎年の減価償却前の営業利益が200万円だった場合、減価償却の費用計上により、営業利益を0円にすることができるので、その分の節税効果が期待できます。

基本的な考え方は上記となりますが、価格によっていくつか費用計上にあたって例外があります。以下の表を参考にしてみてください。

ケース費用計上の考え方
購入したサイトが10万円未満の場合減価償却の必要がなく、その年の費用として計上できます。
購入したサイトが10万円以上、20万円未満の場合少額資産として3年での減価償却が認められています。

法人が会社ごと買収した時の税金

一般的な法人のM&Aとなるので、買収される企業の資産・負債を、買収する企業が引き継ぐことになります。特段、サイト自体を資産もしくは費用計上しません。

買収される企業に繰越欠損金がある場合は節税効果が見込める可能性があります。

会社買収における税務、財務は高度な専門的知識が必要となるため、必ず顧問税理士に相談するようにして下さい。

個人がサイトだけ購入した時の税金

個人事業主が事業用にサイトを購入した場合でも、サイト購入における税金の考え方は基本的には法人と同じ(ソフトウェア(無形資産)として扱われ、5年で減価償却)です。確定申告でサイト購入費用を申告することで税負担を減らすことができます。

例外として以下の場合は確定申告不要です。
例外①:サイト運営とその他の所得が20万円未満の給与所得者
例外②:サイト運営とその他の所得が38万円未満

個人が会社ごと買収した時の税金

通常の株式購入と同様の扱いになり、サイト購入代金は費用計上されません。個人が全株式を買収した場合は、買収した法人の実質的なオーナーとなるため、経営陣(取締役)の設計、税務・財務戦略をどうするかなど様々な経営へ関与を行うことになります。

個人が会社の買収を行う場合も、税務、財務における高度な専門的知識が必要となるため、必ず顧問税理士に相談するようにして下さい。

まとめ

この記事では、サイト売却に関する税金についてまとめてみました。

  • サイト売却する売主は、法人なのか個人なのか、
  • 法人の場合は、事業譲渡なのか、株式譲渡なのか
  • サイトの売却額は?また、それに応じて年間所得はいくらになるのか?

上記のように、考慮に入れる要素の違いで最終的な税率は大きく変わってきます。税金の計算方法は各会社の状況や売却するサイトの内容によっても異なりますので、税務署や税理士などの税務の専門家に相談し、最新の情報を参照した上でおこなってください。

サイト売買サービス 国内最大手

ラッコM&A

ラッコM&A

ラッコM&A2021〜2022年度において、サイト売買成約数No.1(ラッコ社調べ)となっており、国内最大手のサイトM&Aサービスといえます。ラッコキーワード、ラッコサーバーなど、多くのメディアに愛用される様々なサイト運営ツールを開発しているラッコ社だからこそ、豊富な掲載数、売買成約数となっています。サイト売買を考える時に、まずは利用したいサービスです。

ラッコM&Aの主な特徴は以下となります。

  • 高い集客力:ラッコM&Aは、ウェブサイト運営に関連する様々なサービスを提供しています。特にアフィリエイトサイトの売買に最適で、16万以上のユーザーが登録しています。案件情報はラッコキーワードなどでレコメンド表示され、幅広い層にリーチできます​。
  • 売却手数料が無料:売主は完全無料でラッコM&Aを利用できます。手数料に躊躇することなくサイト売却を行うことができ、買主は売却手数料無料により集まった豊富な売り案件から購入したいものを探すことができます。また、着手金の発生や独占掲載条件などの縛りもないため、気軽に売却活動を開始できます​。
  • スムーズな取引:ラッコM&Aは、瞬時に結果が出るサイト査定、GoogleAnalytics連携を使ったアクセスデータの自動取得、取引ステータスが明確で今やるべきことがすぐわかるマイページ、契約書の自動生成、電子契約自動連携、エスクロー自動着金確認、WEBサイトのリアルタイム譲渡などをシステム化しています。これにより取引が失敗するリスクを最小化でき、個人でも安心して利用できます​。
  • 安心のリーガルサポート:ラッコM&Aと契約している弁護士にチャットで相談することができ、弁護士監修の事業譲渡契約書を自動生成することができます。また、電子契約にも自動対応しており、スムーズに契約を締結できる仕組みになっています​​。 エスクローサービス:ラッコM&Aはエスクローサービスを提供しており、自動着金確認が可能です​。

小規模・個人サイト向け

A8 M&A

A8 M&A

2023年11月現在アクセスしづらい状況になっているためリンクを外しています。

A8 M&Aは、国内最大級のアフィリエイトASPであるA8.netが提供する会員限定のサイトM&Aサービスです。多くのアフィリエイトサイトのオーナー登録しているASPによる運営ということもあり、他社と比較しても多くのサイトが売買されています。

  1. スピーディーな直接交渉: 買い手からのオファーが届いた後、直接交渉が可能で、時間をかけずにスピーディーに交渉を進めることができます​。
  2. 売却手数料が無料: 売主は売却手数料を一切支払わず、すぐに売却を進めることができます​。
  3. 安心・安全のサポート: A8.netはご成約金の代理受領や電子契約書の提供、サイト譲渡の手続きの相談、サイト移管手続き代行業者の紹介など、サポートを行っています​。
  4. 複数の登録が可能: 売却を希望するサイトの登録に制限がなく、複数のサイトを登録することができます​。
  5. 仲介取引の提供: 直接取引だけでなく、仲介取引も可能で、売却額が大きくなるなど成約までに時間がかかる場合には仲介取引を受け付けています。仲介取引では、仲介担当が売主と買主の間に入り、売却成立までの複数の実務をサポートします​。

UREBA

UREBA
  1. マーケットプレイス: UREBAはマーケットプレイスであり、登録から交渉、売買完了まで、基本的にユーザー自身で対応することが可能です。また、例外として、売却金額が大きくなるサイト案件などはUREBAのコンサルタントがサポートする仲介サービスもあるようです。
  2. 記事コンテンツ案件とサイト案件: UREBAでは、収益が発生していなくても掲載記事のクオリティが高い案件を「記事コンテンツ案件」とし、サイト収益に基づいた従来の相場価格とは別軸の評価基準で売買が可能となっています。収益はないけれどサイトの中身には自信がある売主、クオリティの高い記事でサイトを成長させていきたい買主のマッチング支援を目的としています​。
  3. サポートサービス: UREBAでは、完全無料で利用できるエスクローサービスと、オプションで利用できるサイトの移転代行サービスをご用意しています。これらのサービスにより、より安心で安全なサイト売買取引ができます。
  4. 売却手数料が無料: UREBAでは、登録料、交渉料、月額利用料金などはありません。UREBA経由で出会った案件の買収が完了した場合のみ、所定の手数料が発生します。売主は完全無料で利用できますが、買主は直接交渉案件と仲介交渉案件で手数料が異なります​。
  5. 業界最安手数料と独占案件多数: UREBAは業界最安の手数料を誇り、また独占的に取り扱っている案件も多いとされています​。

SITE CATCHER | サイトキャッチャー

SITE CATCHER | サイトキャッチャー
  • 無償譲渡(0円)案件が豊富: サイトキャッチャーは0円でサイトが買える無償譲渡案件が豊富です。買主側にとってもリスクがないので、まずサイト売買を始めてみたい人にはとても良いのではないでしょうか。また売主側へのキャンペーンも実施中です、無償譲渡したサイトオーナーへは、サイトキャッチャーより10,000円が贈呈されます。
  • 老舗のサイト売買サービス: 2005年設立のサイトM&Aサービスの老舗。長い歴史の中で、豊富な案件取り扱い実績があるので、安心して利用することができます。
  • 多様な種類のウェブサイトの売買:様々な種類のウェブサイトの売買が掲載、取引されてます。ブログ、アフィリエイトサイト、アプリ、YouTubeアカウントなど幅広く、価格帯も先述の無償譲渡から数百万円までと豊富です。
  • 豊富なサイトの詳細情報提供:サイトキャッチャーの売買情報には、月間売上、営業利益、月間ページビュー(PV)、販売希望価格はもちろん、年間利回りも含まれています。これにより、投資としてのリターンを見積もることが可能になりますなどの詳細な情報が含まれています。これにより、購入者はサイトの性能を判断しやすくなります​。
  • 直接売買と仲介売買の二つの形式:サイトキャッチャーでは直接売買と仲介売買の二つの形式があります。これにより、案件に応じて、手数料を最適化することができます。小さな金額でスピーディーにやりたい場合は直接売買で、しっかりとした取引を行いたい場合は仲介売買で、と案件に適したプランを利用しましょう。

中規模サイト向け

サイトマ

サイトマ
  1. サイトM&A仲介サービス: サイトマはウェブサイトに特化したM&A仲介サービスです。サイトを売りたい人に代わってサイトを売却する為の包括的なサービスを提供しています​。
  2. 誠実なサポートが魅力: サイトマは誠実な取引を心がけており、買主が損をする可能性のあるサイトの取り扱いは行っていません。全員がWin-Winになるようなサービスを提供しています​​。
  3. 毎年成約率は90%をキープ: 創業(2016年5月)から毎年の成約率は90%を超えています​。
  4. リピーターにお得な手数料制度: 初回の売主は、基本料金、月額料金、登録手数料が無料で、着手金は33,000円(税込)。また、6ヶ月以内に売れなかった場合、着手金は全額返金可能です。仲介手数料は譲渡金額の20%相当額(税別)で、最低成果報酬は49.5万円(税込)です。2回目以降のお取引では、着手金が50%OFF、仲介手数料が20%OFFとなります
  5. 包括的なサイト仲介サービス: 仲介手数料には、3者面談のセッティング、契約書の作成代行、サイトの引っ越し(サーバ移転やドメイン権限の移管)、エスクローサービス(売買完了までに、買収金額をお預かりし、安全に取引を進めるサービス)、各種交渉代行、成約後の譲渡完了までの進捗管理、売主様への案件情報ヒアリング、譲渡金額の決定or相談、売却サイトのPR文章作成代行など、多数のサービスが含まれています​。

また、サイトマ代表の中島優太さんが書かれた書籍「超入門! サイトM&A1年目の教科書 -売却編」は、サイト売買を行うにあたっての考え方、サイトを売る人、買う人それぞれの思い、背景、サイトマ自体の会社の由来などが書かれていて、サイトM&Aを検討している方であれば参考になり面白く感じる部分が多いと思われます。ぜひチェックしてみてください。

超入門! サイトM&A1年目の教科書 -売却編

サイト売買Z

サイト売買Z
  1. サイト仲介サービス: サイト売買Zはウェブサイトの売買、売却、買取、M&Aの専門サービスで、引渡し後の問題を防ぐためのサポートを提供しています​。サイトの売却を希望する人は、そのサイトをサービスに登録し、サービス側がその内容を確認して反映します。その後、買い手からの問い合わせに対して、サービスが仲介し、売り手との交渉を行います​。
  2. 購入希望案件掲載も可能: サイトには売買案件一覧と共に購入希望案件も掲載しており、特定のサイトの購入を希望している人々からのリクエストを表示しています​。このリクエストを見ながら自身のサイトを再編集していくという戦略も面白そうですね。
  3. サイト売買に積極買収企業の紹介も: サイト売買Zは積極的に買収を行っている企業をピックアップし、直接交渉も可能です。これにより、売り手は買い手企業と直接交渉することができます​。
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この記事を書いた人

サイトM&A研究所代表。ネット業界約20年目。メガベンチャーでのスタートアップタイミングに入社し、IPO、海外子会社マネジメントを経験。その後自身のSaaSスタートアップを設立し、数年後に売却。現在はデジタルを主軸とした経営・ブランド・マーケティングのコンサルティング。Web/ECサイト、ゲーム、アプリ、SaaS、VTuberなど様々なヒットメディア・コンテンツのプロデュースを担当。AIの進展によりこれからのメディアはどうあるべきかを考えるのが今のテーマ。

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